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旭志村の話

作 者:
ヤマダカズキ (作者紹介ページ)
大 学:
東京藝術大学
技 法:
モザイク
サイズ:
890×890mm
材 料:
大理石、御影石、ズマルト、金箔ガラス、セメント、パネル

私が幼少期に過ごした熊本県旧旭志村の伝承群を題材に制作した。特に私が気に入っている伝承は長者伝説である。広大な田園を持つ群倉(むれくら)長者がこの土地にいた。その広い田園の田植えを一日で終わらせようとし、膨大な人数で田植えをしていたが間に合わず日が沈んできた。そこで田園の端に並ばせた力自慢の男達に黄金の扇子を持たせ、太陽をあおいで高いところに戻させた。再び太陽が落ちる前に田植えを終えようとしたが、男達は疲れ果ててついに日が沈んでしまう。そこで近くの丘に油をまいて火をつけ、その明かりで田植えを終わらせたが、残り火が火の玉となり長者の屋敷や蔵を全て燃やしてしまった。この火の玉は長者が火をつけた丘に棲む大蛇の祟りだといわれる。 私はこのような日本各地の魅力的な伝承を作品として残していきたい。モザイクはとても耐久性に優れており、古い伝承を過去から未来へと引継ぎたいという私の動機を可能にするメディアだと考えている。